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by 長澤由起子 |
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メタボになるほど食い意地の張った、
ハンスト中のナンシーちゃんです。
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ナンシーちゃんは、我が家でただひとりのニューハーフ猫です。
捨てられて餓死寸前のところを、たまたま通りかかった私に保護されたわけですが、心に深い傷を負っています。
その傷を癒してきたのは、やはり心にチョット傷を持つ、銀糸狼ちゃんでした。
ジュニア(異父兄)から、イジメを受けながら育ったからです。
孤立した銀糸狼ちゃんが唯一心許せる相手、それがナンシーちゃんだったのです。
男同士ですが、ふたりはいつしか、夫婦みたいになりました。
寄り添いあい慈しみあい、そして愛の、合体です。
ちなみに、下がナンシーちゃんで銀糸狼ちゃんが上。ただしナンシーちゃんの持ち時間はせいぜい五秒で、
「アニャ〜 」
…っと転落する銀糸狼ちゃんです。
そんなナンシーちゃんが先日、体調を崩しました。真剣な顔をして、じ〜っくりトイレに腰を下ろしていたわりに、出た量はチョビット。
「尿道が詰まったのね?」
「二ャ………」(雄猫の尿道は針より細いため、すぐ詰まります)
病院送りが決定しました。
診察台に乗せる時、
「よっこらしょ」
っという言葉がつい、口を突いて出ました。
ナンシーちゃんはとにかく、おデブちゃんなのです。
病名は予想どおりFUS(猫泌尿器症候群)つまり、尿道が結晶で塞がれて、膀胱がオシッコでパンパンという状態です。
管で尿道から膀胱まで貫かれて、溜まったオシッコが吸引され、お腹はとりあえず、ペショッとなりました。
その後、オシッコがジャンジャン出るのを確認できれば、一件落着となるわけです。
ただこの時、ナンシーちゃんにはもう一つ、気になる症状が。
「血糖値の数値が高過ぎます。平均百前後ですが三百あります。三百六十を超えると立派な糖尿病です。」
いわゆるメタボ…早い話が、食い過ぎですが、これは銀糸狼ちゃんのごはんまで横取りして食べてきたせいなのです。
さて、自宅に連れ戻り、
「よっこらしょ」
と居間に下しますと、麻酔で朦朧としたナンシーちゃんが、ガバッと起き上がりました。そして、
「寝てなさい!」
という制止を振りきり、ヨロヨロフラフラ、コテッ…を繰り返しながら、目指す階段へとたどり着きました。
「まさか昇らないよね」
とたかをくくっておりますと、一段目に手をかけ、グニャリ…ズドッ…またグニャリ…ズドッ…そこで諦めるかと思えばまた、グニャリ…ズドッ…そしてつい
に、銀糸狼ちゃんの待つ部屋へと、戻っていってしまったのです。
「アニャアア〜・」
心配げに待ち受けていた銀糸狼ちゃんは、さっそく愛のマウントです。
「駄目だろ〜っ!」
「アニャ 」
心はやはり、鬼にしとかなくちゃいけません。安静が保てないどころか、
「どっちのオシッコか区別できない!」
というわけで、ナンシーちゃんのケージ暮らしが始まったのです。
ところがどうしたことでしょう、いたれりつくせりの介護なのに、回復の兆しがマッタク見えません。
なにしろ朝与えたフードや水が、夜になってもそのまんまです。
翌日もやはり、そのまんま。
ついにオシッコの確認どころではなくなってしまって、
「入院させたほうがいいみたい…」
ということに。
ところがこの時、おかしなことに気づいたのです。なんと目がギンギンのランラン!要するに、病気猫の目ではなかったのです。
「まさかとは思うけど(銀糸狼ちゃんと離されて)ハンストしてる?」
ハイ…その、まさかだったようでございます。
銀糸狼ちゃんと一緒になった途端イッキ回復とあいなりまして、たちまち恐ろしい食欲を見せてくれたのでした。
それにしても、メタボになるほど食い意地の張ったナンシーちゃんだけに、このハンストはびっくりでした。
人はパンのみにて生きるにあらず、とか申しますが、猫だってそれは一緒みたいで、つまり動物は…みな一緒。
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