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by 長澤由起子 |
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アニャー(出た〜い)!
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猫たちが過ごすのは基本的に部屋の中ですが、時々とても可哀相になってきます。本当は自由に出歩きたいのに、人間が作った勝手な都合で軟禁状態を強いているわけですから、
「行ってきま〜す」
と手を振りつつ、
「ごめんね、私だけ…」
そっと心で詫びたりしています。
そんなわけで、とりあえず外気を満喫して頂こうとバルコニーに出すわけですが、さすが猫、庭まで三メートルもあるのに、ジュニアと銀糸狼ちゃんとサンちゃんは、優々と飛び下りてしまうのです。
そしてジュニアと銀糸狼ちゃんは、家の周囲をグルっと回って、玄関先で、
「アニャ〜(入れて〜!)」
と叫びます。
ドアを開けると嬉々として階段を駆け上がり、バルコニーに出ます。そして性懲りも無くまた飛び下りて、
「アニャ〜(入れて〜!)」
と叫びます。
気づかないフリして放っときますと、
「アニャ〜(入れて〜!)」
声がとっても、切なくなります。
「あ〜ら貴男、また降りたの」
「…アニャ」
いくら何でもコリたろうと思っていると、また飛び下りて、
「アニャ〜(入れて〜!)」
いちいち付き合ってる私は、とても大変です。
でも、サンちゃんに比べると可愛いもんです。と申しますのも、飛び下りたら二〜三日は戻りません。
要するにプラプラ外を出歩くことが大好きなのです。そしてダラダラ二〜三泊して、交換時のモップのような姿になって、
「アギャア〜ッ(腹減った!)」
と、戻ってきます。
ですからサンちゃんに関しましては、身から出たサビというか、バルコニーで過ごす時でさえ首輪とリード付きで、ストレス満タンな暮らしになってしまったというわけです。
「可哀相に」
「アギャア〜ッ!」
…とバルコニーでやっておりましたところ、一つの事実に気がつきました。サンちゃんが、すっかりリードに慣れてくれたのです。
要するにワン子みたいに、お散歩が可能になったのです。だったら善は急げ。
「行くよっ」
「ニャン!」
と、表に飛び出しました。
しかしこれがたいへん…サンちゃんが歩く道はなんと、道路ばかりではなかったんです。どうもかつてのおでかけルートだったようで、サンちゃんなりにヒト目を避けて、歩き慣れた道だったのです。
知らないお宅の門をくぐり、庭を横切り、生垣をくぐります。
「こっち!」
とリードを引いても、
「ギャン!」
どうしても譲ってくれません。
それで仕方なく妥協して、知らないお宅の庭に忍び込むのです(陳謝)
溝には落ち込まなければなりません。気に入ったらお尻を向けて、マーキングしなければなりません。
ラブホのゲイトをくぐって駐車場に入って、車体の下をくぐり歩こうとした時は、
「無理!」
「キャン!ギャン!」
力づくで引っ張り過ぎて、スポンと猫体が抜けて、慌てました。
その失敗により、頑丈なハーネスに取り替えたわけですが、何としてでも我が道を歩こうとする猫と私の、まさに戦いというお散歩ですから、目的地に辿り着いた時には、もうヘトヘト。翻ってサンちゃんは気持ち良さそうに寝転んで、ゴロゴロ回転しています。
しかし長居は出来ません。頃合を見計らい、
「帰ろうよ」
とせっ突くと、なんと、
「フ〜ッ!」
仕方なくサンちゃんを抱き上げます。
「アニャン!」
しかしなにしろ六キロ、抱いて歩くには重すぎます。ほどなく限界を迎え、
「自分で歩いてちょうだい」
と道におろしますと、やはりというか、家とは逆の方向に歩きます。
「こっちでしょ!」
「アニャン!」
仕方なくまた六キロのサンちゃんを抱き上げ、歩きます。これはちょっとした、ウエイトトレーニングでもあります。
そうしてクタクタになって我が家へ辿り着くわけですが、それでも、とても楽しいっていうのは、どういうこと?
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