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アニマル ファミリー [ オンライン版 ] 2008.August
この物語はノンフィクションであり、登場人物・登場猫もすべて実在します。
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by 長澤由起子

目ざめて最初に見る顔です。
(枕もとのケータイで撮りました。)


 「ウギャン!」
私はサンちゃんから、よく怒鳴られています。
猫から怒鳴られるというのは珍しいと思うのですが、サンちゃんに限っては、怒鳴るのです。
これは、猫たちが悪戯していたりすると、
「駄目!」
と、私が大声を出したりするもんですから、いつの間にかそれがうつってしまった結果なのですが、怒鳴る時というのはきまって、ベッドの上です。

「ウギャン!」
と、今日も朝っぱらから怒鳴られてしまいました。
舌でゾリゾリゾリゾリ…脚でモミモミモミモミ…私がなかなか起きようとしないせいかとうとう煮詰まったらしく、
「ウギャン!」
ときたわけです。

「今日はお休みよ、ゆっくり寝るからほっといて〜」
と背中を向けても通用しません。向きを変えて、
「ウギャン!ウギャン!ウギャン!」
と怒鳴り続けます。
休日であろうが平日であろうがおかまいなしに、サンちゃんの丸顔と声が大迫力で迫ってくるわけですが、こうして胸上に六キロの巨体がドシッと乗った状態で、私の一日は幕を開けます。

これは以前にもお話しましたが、私の目覚めを確認したサンちゃんは、さっそく朝H体勢に入ります。
朝H…つまり、私の右腕にまたがって、下腹部から露出したトンガリの先で、手の甲をツンツンツンツン…突き始めるのです。すると私は、人さし指と中指の間に、ちょうど滑り込めるように調整してあげ、しかもモニモニモニモニ…のサービス付き。
サンちゃん至福のひとときです。

ただ、愛猫がよろこぶなら…と、しかたなく付き合ってきたわけですが、三百六十五日毎朝欠かさずというのが問題です。
しかも所要時間に誤差があり、五秒で終わる朝もあれば、三分たっても終わらない朝があります。そんな朝はもちろん、催促します。

「まだ〜?」
「・・・・・・・・・・・・」
返事はありません。
「まだ〜?」
痺れを切らして起き上がろうとすると、
「ギャン!」
凄い剣幕で怒鳴ります。

またしばらくたって、
「会社に遅れる〜」
と、焦って起き上がりますと、
「ギャン!」
肩に追い縋って怒鳴ります。その真剣で切ない目…
「なら早くしなさいよっ」
私は再び体を横たえます。サンちゃんも状況を察してかピッチを上げ…やっとフィニッシュ。

これはまさしく去勢手術をしなかったむくいですから、しときゃよかったな〜って、最近よく後悔してます。
どうか皆さん、不妊手術だけは何が何でも励行してください。動物たち本人にとっても、ずっと幸福な暮らしが営めるのですから。

で、先日の朝、こんなことがありました。
ベッドにサンちゃんがいなかったのです。
「サンちゃん?」
と部屋を見回しますと、デスクの上で寝そべっておりました。

一般的には普通の光景ですが、サンちゃんの場合は病気のサインつまり、Hするほどの元気が無いのです。
「サンちゃん!」
「………」
触るとやはり熱っぽくて、
「風邪ひいた?おなか、痛い?」
「……」
情けない顔して私を見上げます。
「さっ、朝ごはんだよ」
少しでしたが、口をつけてくれたので、ちょっとだけ安心しました。

早朝で病院が開いていないということや緊急性もなさそうなことから、
「お母さん、サンちゃんの様子、見てて!」
と頼んで、あたふた出勤。
でも、病んだ子を置いたまま、仕事に出かける哀しさったらありません。

幸いにも帰宅時には回復していて、私がベッドにつくや、すっとんで来ました。
「元気になったんだね〜」
「アニャ〜ッ!」
朝やらなかったせいか、かなりたまってたみたいです。
「夜は駄目って言ってるでしょ!」
「アギャン!」

不機嫌丸出しにベッドからとび下り、ふてくされているサンちゃんに、ホッと胸を撫で下ろす私でした。


 

 

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